「食」の大切さ、小田原の可能性

「食」の大切さ、小田原の可能性

 2月、子育て中のお母さんたちを中心とする市民グループより、市内保育園や小中学校におけるオーガニック給食の実現を願う約1800筆の署名が提出されました。地元産で、無農薬や減農薬による農産物の優先的利用などを目標に掲げています。「体が最も成長する大事な時期に、地の旬の、安心して食べられる食材を」との願いは、私も十分に理解しています。

 私がそう共感する背景には、娘の小児がんの回復プロセスに「食」が大きな役割を果たしたこと、その過程で私自身「食」がいかにいのちを養うかについて実感した経験があります。発病後の経過が悪く、化学療法や放射線などの治療を所定の半分も受けられなかった娘に、私たち夫婦は「本人のいのちの力で回復してほしい」と願い、食を中心とした療養生活に家族として取り組みました。

 私が自然農などでお米や野菜を作り、妻は食養と調理法を勉強。日々の農作業、そして素材を生かした食を通じ、自然な栽培環境で育った旬の野菜のおいしさ、柔らかさ、そして滋養を実感したものです娘はその後元気を回復、私たち家族も体質改善などにつながりました。

 小田原でオーガニック給食を実現するには、まずそうした農産物を生産する農家を支援し、市内の給食数を賄える生産量を目指すことが必要。お米にしても野菜にしても、現状ではまだ不十分ですが、最初は回数や実施校が少なくとも、実現に向けて一歩ずつ始めていくことが大切。少ない食数で実施可能な小規模校や公立保育園などから着手することを考えています。

 また、小田原にはお米や野菜以外にも「いのち」を養う力を持つ食材に恵まれています。代表的地場産業である蒲鉾(かまぼこ)などの練り製品は良質な魚肉タンパクの塊であり、また沿岸で毎朝水揚げされる地魚、特にイワシ、サバ、ソウダガツオなどの青魚類には、必須アミノ酸などを含むタンパク質やDHA・EPAなどが多く含まれます。名産の梅は疲労回復などに加え、近年の研究でさまざまな効能が明らかです。もちろん大産地である各種柑橘(かんきつ)類は、ビタミン類をふんだんに含み、健康維持に大事な役割を果たします。

 こうした食材のさらなる利活用に向け、生産者や事業者の皆さんとも協働を進めていきます。子どもたちはもちろん、全ての市民のいのちを養うことにつながります。

 

(広報おだわら3月号より)

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